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佐藤さとる先生の事

「だれもしらない小さな国」の作者というのが、一番通りが良いだろうか。
佐藤さとる先生の自伝的小説「オゥリイと呼ばれたころ・終戦をはさんだ自伝物語」を読み終えた。
御年86歳。おそらくは先生最後の長編となるであろうこの作品を読んで、先生の数々の作品が僕という人間に与えた影響を改めて考えた時、何か一筆書かずにはいられなかった。

僕が佐藤先生の名前を初めて認識したのは、小学校3年生の時。
風邪を引いて学校を休んでいたその日、たまたま枕元にあったのが、何の気なしに図書館で借りてきていた「だれもしらない小さな国」だった。正直言うと、本の内容よりも、村上勉さんの素晴しい挿絵に惹かれて借りてきたのだったが。
風邪の症状もそれ程ひどくはなく、何もする事がないので、そばにあったその本を読み始めたのだが、その面白さに止まらなくなり、気がつけば一気呵成に読み進めてしまっていた。読後、何だこの面白い本は!という思いに呆然となった事を30年以上経った今でも鮮明に覚えている。
それからは、憑かれた様に佐藤先生の作品読み漁った。全ての作品を読み終えると、同じ作品をまた繰り返し読み直した。
特に、コロボックルシリーズは、大人になった今でも、たまに読み返す事がある。
驚くのは、大人になってから読み返しても、その面白さは全く色褪せていないという事だ。
ファンタジーでありながら、緻密でリアルな情景描写が、あたかもそれが現実の事の様に錯覚させてくれる。
真の文学の前には、子供向けとか大人向けとかそんなカテゴリーすら意味を成さない。

子供の頃、佐藤先生の作品に出会っていなかったら、僕は今とは違う大人になっていたかも知れない。それぐらい、佐藤先生の作品からは、多大な糧をいただいたと思う。その佐藤先生が、敗戦を挟んだ混乱の時代に、作家になる決意をするに至った自伝小説に、感慨を禁じ得ない訳はない。

佐藤先生におかれては、どうかこれからも末永くお元気でご活躍されん事を願うばかりだ。
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プロフィール

中道耕平

Author:中道耕平
画家です。
空間の中にたゆたう叙情や空気を表現したいと思っています。

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